息もつかさず泳ぐ母さんとアスファルトの匂い

息もつかさず泳ぐ母さんとアスファルトの匂い

「晩御飯はカレーよ。」
少年は母親のその発言を耳にした途端、無意識に笑みが浮かんだ。
少年は学校から帰って、ソファーに寝転がってテレビを見ているところだった。
今日は西日が強い。
網戸の窓では風鈴がときおりチリリンと音を立てていた。
TVでは、かつてのなつかしアニメをやっていた。
今日は「一休さん」だった。
一休さんみたいに聡明な坊主が今いたら、テストなんてちょちょいのちょいなんだろうな、と少年は感心していた。
だけど、台所からカレーの香りがリビングまで漂ってきたとき、少年はアニメのことなんて頭から吹っ飛んでいた。

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